飲酒運転が反社会的行為であることは広く認知されていますが、いまだ後を絶たないのが現状です。飲酒運転での事故は、飲酒をしていない状態での事故と比べて、死亡事故率が7倍以上高くなることが分かっています。
お酒を飲んで車のハンドルに手を掛けた時が、奈落の底へ落ちるか、日常の生活に踏みとどまるかの、まさに人生の分かれ目なのです。
本作品は、飲酒運転による死亡事故を起こした本人と周囲の者、そして被害者とその家族が陥る悲劇をドラマ形式で丹念に描いた作品です。これくらいの距離なら大丈夫、これくらいの酒の量なら事故を起こすはずがないと安易に思いこむことが、どれほどの悲劇をもたらすのか、視聴者に警鐘を鳴らします。
【内容】
会社員の倉田は社用車での営業の帰り、偶然学生時代の友人、藤木が歩いている姿を見かけて声をかける。2人は飲食店に入り、倉田が大きな案件を成立させたことに祝杯をあげる。車で帰宅予定の倉田は酒を控えるが、藤木が美味しそうに飲み干す姿に我慢できなくなり、ビールを口にし、二人で楽しく飲み交わしていく。
べろんべろんに酔っぱらった藤木を抱きかかえ、店を出る倉田。代行やタクシーを探すが捕まらない。「駅はすぐそばだし、頭もしっかりしてる」と倉田は思い込み、藤木を助手席に乗せ、車を走らせる。その道中、一人の男性を轢いてしまう。男性は病院に搬送後、死亡。事故当時一緒に歩いていた一人娘の美久は泣き叫ぶ。
倉田が飲酒運転で人を轢いた事実は報道され、勤務先の会社もネット上で非難の嵐にさらされる。社長の山岸は拘置所で倉田と面会し、身寄りのない美久が祖母に引き取られたこと、会社が社会的信用を無くし、取引先が離れていったことを伝える。
倉田は実刑判決を受けて刑務所に収監される。面会した藤木から、飲酒運転で同乗したことで人生が狂ってしまったとなじられ、山岸からは会社が倒産したことを伝えられる。
刑期を終えた倉田は、美久のもとを訪れる。成長した美久から、事故当時父に渡すつもりだった手紙を読み上げられ、倉田は美久の悲しみの深さを改めて思い知り、深く謝罪する。一生かけて償っても、被害者の命は戻らない。そして周りの人たちにも、一生消えない傷を与えてしまった。倉田は取り返しのつかない後悔の念に駆られながら、美久の家を後にするのだった