日本の子どもの幸福度は、先進国38カ国中20位というデータがあります。身体的健康は1位でも、精神的な幸福度は37位と最下位レベル。子どもたちの多くは、生きづらさを感じています。
その背景のひとつに、児童・生徒の自殺数の上昇に歯止めがかからないことが挙げられます。ここ30年で、学校が把握している自殺数は2倍以上に増え、2016年の自殺対策基本法改正後も増加し続けているのです。
実は子どもの自殺の主な原因は、いじめだけではありません。小学生では家族からのしつけや叱責、中学生では学業不振、高校生は進路問題が主な原因で、その背景には児童・生徒の生活環境が大きく関わっています。誰にも相談できず、あるいは相談しても相手にしてもらえず、最終的にはストレスを抱えて命を絶っているのです。
「親との関係が良くない」「友達とうまくいかない」「部活でレギュラーを外された」「家庭の経済的な問題」などの生きづらさから、自殺への一歩は始まっています。この生きづらさをいかに解消していくかが、自殺予防対策の鍵といえるのです。
本シリーズは児童・生徒および指導者・保護者向けに、子どもの自殺を予防するノウハウを伝授し、子どもの自殺を減らすきっかけになれば、という思いで制作したものです。そのためにはまず、SOSの出し方や、相談できる大人の見つけ方を伝えます。また、指導者向け作品では、SOSの受け止め方や、自殺のリスクの高い子どもへの対処法を教えます。いずれも再現ドラマで実例を紹介し、実践的に学ぶことができる映像教材です。
■ 増え続ける未成年の自殺件数
人はいくつも原因が重なるときに、自殺に追い込まれる
■ 悩みごとや生きづらさとは
家庭的要因、経済的要因、社会の無理解、日常の困りごとなどが、生きづらさにつながる
■ 子どもがSOSを出したら
SOSの出し方を教える/受け止める側がしてはいけないこと
■ ありのままに受け止める
そのまま受け止める「受容」と、詳しく聞く「傾聴」が大切
■ 自殺を予防するには
「TALKの原則」の実践例