■急増する睡眠時無呼吸症候群による事故
近年、運転者の健康状態が原因で起こる事故が増加傾向にある。なかでも特に「睡眠時無呼吸症候群」による事故が問題となっている。2012年、2014年に発生した、睡眠時無呼吸症候群のドライバーが起こした高速バス事故により、運転者を対象とした事前検査の重要性が注目されている。
■睡眠時無呼吸症候群とは
「10秒以上の呼吸停止・低呼吸が1時間に5回以上ある」、もしくは「一晩に無呼吸が30回以上ある」場合、この病気に該当する。深い睡眠が得られないにもかかわらず、自覚的な眠気が少ないため、日中に突然強い眠気に襲われるのが特徴である。
■睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査
ある事業所が運転者に対し行っている「スクリーニング検査」の様子を捉える。検査対象者が睡眠時に検査器具を装着することで、呼吸の程度を調べることができる。
■睡眠時無呼吸症候群の精密検査と治療法
スクリーニング検査で「D」「E」判定であった人は、専門医療機関で精密検査を受け、症状の重症度を診断される。いくつかある治療法のうち、「CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)」が効果的であり、健康保険も適用される。CPAPは継続的に行うことが大事であり、月1回の診察通院が必要である。
睡眠時無呼吸症候群の検査と治療は、ドライバー本人の安全・健康だけではなく、国民全体の安全・安心へとつながる。トラック・バス・タクシーなどのドライバーにとって、健康管理はプロとしての責務である。