原爆被災記録映画『広島・長崎における原子爆弾の影響』
日本映画社が学術調査団に同行し、1945年 9 月から広島と長崎で原爆の実態や被害の様子を撮影した記録映画。
長崎での撮影中に GHQ から製作中止を命ぜられたものの、米軍管理下で製作を再開。翌年完成した作品は米国に接収され、20 年後の 1967 年に複製が日本へ返還された。接収の経緯から、当時この映画は「幻の原爆映画」と呼ばれた。
広島編・長崎編あわせて約 3 時間に及ぶが、ナレーションと字幕はすべて英語で編集されている。人も動物も植物も建物も破壊され廃墟となった広島で、日本映画社のスタッフたちは「核兵器が二度と使用されないために、広島・長崎で起こったことを伝えたい。後世に被曝の惨状を残したい」という強い思いを抱き、撮影に取り組んだ。
撮影記録メモには、感傷や感情に流されまいと胸にこみ上げる思いを抑えながら綴った鈴木喜代治の臨場感あふれる言葉が残されている。
ローリッツェン検電器
電極に指定電圧を加えて電荷を与えると静電気の反発でファイバーが開き、放射線の電離作用で空気中に生じたイオンが電荷を中和するとファイバーが徐々に閉じていく。この時間変化を測定して放射能を計る装置。金属製の箱に顕微鏡を取り付けたような構造で、アルミ製ステージ上に放射性試料を置き、シャッターを開いて測定を開始する。