小学5年生の河瀬早苗は父・敏也の転勤で東京から滋賀県へ引っ越してきたが、転校先の学校では級友の哲生と裕太からいじめを受けていた。
ある日、早苗は気分をまぎらわそうと湖岸にスケッチに出かけ、そこで偶然にも父の同級生・守から声をかけられる。守は元気のない早苗を励まそうと、妻の園子が指導する和太鼓クラブに連れて行き、娘の理菜を紹介する。早苗は明るくやさしい理菜の気持ちにふれ、和太鼓クラブに入部したいと敏也に懇願する。しかし、敏也は和太鼓クラブへの入部を強固に反対する。
実は敏也には30年前につらい思い出があった。その頃守と敏也は、同じ美術部で親友同士だった。しかし、敏也は、部落差別が原因でいじめられていた守とつき合っていることで自分までもいじめられそうになり、二人の友情の証である文化祭への出品作を、守の目の前で破り捨てる。そのことが原因で二人の関係は気まずくなり、敏也も父親の仕事の関係で転校し、物別れとなってしまっていたのだった。
敏也に内緒で和太鼓クラブに通っていた早苗は、理菜の母・園子の話から、父が反対するのは部落差別が原因であることを知る。
「早苗がいじめられないか心配だから…」と答える父の話を聞き、早苗は和太鼓クラブへ行くのを一旦はやめようとするが、いじめから守ってくれる理菜の温かい思いやりの心にふれ、再び練習に通い始める。そして、理菜と共に父親同士の友情を取り戻させようと計画をたてる。
早苗と理菜の思惑通り、敏也と守は思い出の場所で再会する。30年間悩み悔やんできた敏也は、自分の弱さのため二人の友情を一方的に破棄したこと、また早苗の問題でも同じあやまちを犯しそうになったことを守に詫び、今度こそ部落差別と正面から向き合っていくことを決心する。
一方、早苗をいじめていた哲生と裕太も理菜の言葉をきっかけに早苗に謝り、四人は仲直りする。そして哲生と裕太も和太鼓クラブに入部する。
数日後、和太鼓クラブでは、仲良く一生懸命練習する子どもたちと、それを見守る敏也、守、治美、園子の姿があった。