【かいせつ】
未来を担う子どもたちの健やかな心の成長は、社会の大きな願いです。昨今、子どもたちの間には不登校、少年犯罪、いじめなどの問題が急増していますが、それは実は社会がつくりだしたものなのかもしれません。21世紀を生きる子どもたちが、自分と人とを大切にし、正義と勇気をもって生きていける社会にするために、私たち大人が子どもの命と心を守っていかなければなりません。
本作品は、ベストセラーとなり、アニメ映画としても大ヒットした青木和雄氏原作『ハッピーバースデー』に続く、子どもたちの心の声を描いた物語『ハードル』のアニメ映画化です。
映画化には、物語の舞台となる宮城県古川市・神奈川県横浜市の市民グループが、1枚1,000円の「ひとコマ製作券」を販売し、90分・12万コマになるフィルムの製作を応援する運動を展開しました。主題歌を人気のフォークデュオ“ゆず”が担当。
制作は、高いアニメ制作技術を持つマジックバスと、『蒼い記憶』『アテルイ』『ハッピーバースデー』などを監督し、高い評価を得ている出崎哲監督です。
【ものがたり】
横浜に暮らす有沢麗音(レオン)は、小学6年生のある日、クラスメートの万引きを目撃してしまいます。中学受験を控え、心にストレスを抱えている時でした。しかしある理由から、麗音は犯人と誤解されます。大人たちの態度に麗音は深く傷つきますが、友人と文房具店のおばあさんの言葉に救われ、心の輝きを取り戻します。
やがて中学生になった麗音は、父の失職と両親の別れによって、東北の古川市にある母の実家に家族三人で暮らしはじめます。自然に囲まれ、心も、友達との輪も大きく広がっていきます。ところが、バスケ部への入部を断ったことでいじめの標的とされ、とうとう生死の境をさまよう事件が起こります。波風が立つのをおそれて真実を隠そうとする大人たちに対して、子どもたちは立ち上がります。正義を守るために、勇気を奮い起こして――。