児童虐待によって幼い命が奪われる事件が後を絶ちません。そうした事件をなくすために2020年4月から「改正児童虐待防止法」が施行されました。それによって虐待にさらされている児童への社会の取り組みはある程度改善されることになりましたが、法令の周知はまだ十分ではありません。今回の法改正の重要な内容である「体罰の禁止」が徹底されれば、少なくとも体罰による虐待死をなくすことが可能です。
そこで「一般向け」作品では、体罰に焦点を当てて考え、地域全体で虐待死のない社会づくりへのひとつの道を示します。ミニドラマ、イラスト、専門家のコメント等を挿入し、改正児童虐待防止法のポイントを解説します。
また、児童虐待死事件の多くは、周囲の人に気づかれ何らかの形で公的機関の関わりがあった事例です。言い換えれば、当事者からSOSのサインがあったにもかかわらず、救うことが出来なかった事例が数多くあったということです。
そこで「児童福祉従事者・関係者向け」作品では、当事者からのSOSをどのように受け止めたら良いのか、気にかかる事例があったとき、形式的な対応で終わらせずに、子どもと保護者を救うにはどうしたら良いかなどを、実際に起きた4つの事件をもとにミニドラマにしてわかりやすく示します。
■体罰はしつけ?
児童虐待をした保護者が、理由を聞かれたときによく答える言葉は、「しつけのため」だ。街頭で体罰についての意見を聞いてみても、意外に多いのが体罰容認の声。その背景には…。
■体罰は昔からあった?
江戸時代の日本では、子育てにおいて体罰はあまり用いなかった。しかし明治時代になり体罰を認める民法ができたこと、また日露戦争後の軍隊の考え方が家庭教育にまで浸透したことが、現代の人々に体罰容認の考えを根強く残す要因となっていると考えられる。
■体罰は次世代に連鎖するのか?
体罰を受けた経験のある親の中には、厳しい体罰のおかげで現在の自分があると考える人がいる。しかしそれは正しいのだろうか?
■体罰のエスカレートによる死亡事例
体罰をエスカレートさせてしまい、子どもが死亡してしまった事例を再現映像で描く。そして、このような事例がなぜ起きたのか、どうすれば救うことができたかなどを考える。
■スウェーデンの事例から改善の糸口は?
体罰を法律で最初に禁止したのがスウェーデンである。どのような経緯があったのか、在日スウェーデン大使に詳しく解説してもらう。そして、体罰を無くしていくために日本ではどうあるべきかを考えていく。