アニメーション

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天気になあれ

41分 DVD本体価格 75,000円(税抜)

制作意図
アニメーション映画「天気になあれ」には、原作があります。
それは国際識字年にあたる1991年(平成3年)に、ひのでよみかき教室の20周年記念として刊行された、岸キヌエさん著「みやらけの子もり唄 -岸キヌエの生きてきた道-」という本です。
この本は、1995年(平成7年)現在で80歳になられる岸キヌエさんが、よみかき教室に通う20年の間に書き続けてこられた文章をもとに、昭和初期の少女時代から昭和40年代の壮年期に至る記録を、第一部「おいたち」、第二部「むらの生活と歴史」、第三部「解放運動と識字」の三部構成にまとめられたものです。
その内容は、差別と貧困と戦争、そして解放への闘いという激動のドキュメントであって、彼女の人生は、差別に耐え、貧困に苦しみ、子どもたちの将来を託して闘った部落女の一つの典型といえるものでした。

大阪市教育委員会は、この本を素材にして、現代の子どもたちのために過ぎ去った過去を再現させ、私たちが「いま・ここ」で真摯に取り組むべき課題につなぐものを発見させる同和問題啓発の視聴覚映像教材を作ろうと企画いたしました。そして、脚色するにあたって、次のような点を配慮することにしました。

(1)このアニメーション映画の訴求対象を、小学高学年から中学生相当とします。
(2)テーマは「今日なお私たちの社会に部落差別が存在するのはなぜか?」という問題提起です。子どもたちに部落差別の理不尽さを訴えかけ、解決のためにどうすればいいのかを語り合い、考えて、実行していただくことを期待しています。
(3)被差別部落や差別体験者を題材にするとき、結果的にマイナス・イメージを植え付ける可能性はないかと危惧する声が聞かれます。今回、この点をとくに留意して、明るく、力強く、前向きの姿勢を描くようにしました。
(4)原作者、岸キヌエさんの生涯は現代史の、それも昭和史に重なり合っています。そこで被差別の境遇に生きてきた一人の女性の体験を通じて、その時代性を現在の子どもたちに感じさせることが重要であると考えました。
全体構成では、昭和初期の部落の生活のしんどさに子ども心に負けん気で立ち向かった少女時代、戦争中の悪戦苦闘の時代、そして戦後、復興に取り残された被差別部落の窮状にたいして、「この村、これでええんか?」と立ち上がるまでの闘いの時代に分けて「生活がわかった」という実感が与えられるようなストーリー展開にしました。
(5)単に、「かつてこんなことがあった」というのではなくて、現在の子どもたちがおかれている状況に合わせて、彼らの日常の生活感覚に訴えかけ、ともに共感し、ともに考えられるような問題の投げかけを目指したいと考えています。

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*印刷してお使いください。