いじめ防止対策推進法の施行から10年が経ちました。
しかし、いじめ問題の状況は現在も改善されていません。法律施行後、いじめの認知件数は増え続け、令和4年、全国の小・中・高等学校及び特別支援学校で確認されたいじめの件数は68万件を超えています。
いじめは、早めに気づき、深刻化させないことが重要です。
この作品は、学校や家庭、地域の中で、いじめのSOSを早く正確につかみ、的確に対処することが、いかに重要であるかを訴えるものです。
■イジられキャラ
「イジられキャラ」として定着していた中島冬弥。このクラスでは、ちょっかいを出すことを「イジる」と言い、イジられやすい人を「イジられキャラ」と呼び替えていた。
■孤立化
いじめのターゲットではない生徒は、傍観者としていじめに加わっていく。冬弥の担任も、普段から「イジられキャラ」だった彼の態度や表情、クラスの楽しそうな雰囲気に、些細な違和感は流されてしまう。
■無力化
いじめから逃げ出すための訴えは「チクる奴は最低」という言葉にすり替えられ、妨害される。
■透明化
いじめによる孤立化、無力化が進行すると、いじめが当たり前のことになってしまい、誰も気にしなくなる。冬弥は友だちに「ごめんなさい。さようなら」とメッセージを送り、屋上への扉を開けた。