ポッポちゃん(5才)のお父さんは、名古屋の東山動物園の園長さんです。ポッポちゃんは、毎日サブちゃん(5年生)といっしょに動物園の中をぐるっと回ります。動物園の動物は、みんなポッポちゃんとサブちゃんの友だちです。
その頃、日本はアメリカ・イギリスなど世界中の国を相手に戦争をしていました。しかし動物園には、まだたくさんの動物がいました。その中でも一番の人気者は象です。象の柵のまわりはいつも人でいっぱいです。
東山動物園にも4頭の象がいました。戦争が始まって運ぶことができなくなったので、木下サーカスから譲り受けたのです。マカニー、エルド、キーコ、アドンの4頭は曲芸をしていました。
戦争はだんだんと激しくなり、動物園でもエサ不足が深刻になりました。象が毎日食べるワラも燃料になってしまい、集めるのが一苦労です。
しかし、それ以上の難問が動物園では起きていました。全国の動物園に「猛獣を処分せよ」という命令が出され、その対象には象も含まれていたのです。上野動物園では花子、ジョンが殺されました。
猛獣を処分せよという再三の命令を断わり続けてきた東山動物園でも、ついに…。